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私立高校の無償化

2026年より私立高校の授業料が全面的に無料になるという。財源の問題はさておき、生徒の利益の観点、そして日本社会の未来の観点からすると、大賛成である。

理由は「内申点の束縛から解放される」からである。

私立高校の入試では内申は点数化されないが、県立高校の場合点数化されて多くの場合、記述と同じ点数配分となる。よって県立高校で志望校に受かるために中学生は内申点をしっかり取る必要がある。ところが、、、この内申は1〜5までの5段階評価なのだが、結論から言うならば担任の主観でどうにでもなる。例え学校の定期試験で満点をとったとしても5の評価をされない場合もある。それは担任による「絶対評価」だからだ。たとえ高得点でも、提出物に不備がなくても教師側が「学習の態度が良くない」と判断すればいくらでも低評価をつけることも可能である。つまり担任の好き嫌いでどうにでもなるもので、まったく民主的でも、教育的でも、科学的でもない。よって生徒側や保護者の多くは、担任の顔色を伺い教師側は王様のように振る舞う。民主国家の、昭和でなく令和の時代に。

2つ例を挙げる。

F中学校に通う生徒が定期テストの解答用紙を持ってきた。大文字のI を「上と下に横棒がない」ということでことごとくXにされていた。10点以上は損をしていた。もちろんなくても間違いではない。多くのネイティブはむしろ書かない方が多い。鎌倉の中学に通う別の生徒は同様のIを書いていたが減点されていない。「先生にマルにしてもらおう」と行かせたらとんでもない返事が返ってきた。「それは私が教えた大文字のIではないからだめです」だと。。。私は英語を教える人間として以上に人として憤りを覚えた。抗議に行こうかとその生徒に提案した。が彼女は「やめて欲しいです。変に目をつけられて内申に響くかもしれないからです。」とのこと。

M中学校に通う生徒は学校の授業で wake(目覚める) の活用 wake – woke – woken を wake – woke – woke と誤って教わり、彼は辞書を持って「辞書ではwoken となっています」と教師に伝えにいくと「辞書が違う」と言い放ったという。(笑うしかないのだが実話です) その生徒は「もうこれ以上は問題にしたくない。言っても聞く人ではない。生活指導部担当でもあるし、内申に響くのも嫌なので。」との反応だった。

このように公立中学校の教師の質はとんでもないレベルにまで下がっている。もはや教育者とは言いがたい教師すらいる。がしかし家庭がそれほど金銭的に余裕がないところの生徒は進学先の選択肢として私立高校は不可能で、県立高校一択となる。がそのためには「入試の得点の半分を占める内申点」で高得点を取る必要がある。そしてそれを果たそうとすると理不尽で横暴な教師であろうと異議を唱えるのが難しくなるという極めて不幸な状況に置かれてしまう。生徒が哀れである。公立中学校ではこのところ不登校の生徒が激増し、その理由の第1位は「教師との相性」が複数の調査で明らかになっているがその要因の根幹はここにあると見ている。

私立高校の授業料が全面的に無料化されると、このような子供たちがたくさん救える。無理して県立高校に行く必要もなくなり「内申点の奴隷」にならなくて済む。どれほどこの子供達の精神の形成にプラスになることか。思春期という最も多感な時期に権力を持った側の顔色を伺い、忖度することを教え込まれた子供が大人になったとき、どれほど社会にとってマイナスになることか。いや実際もうそうなっているではないか。

私立高校の無償化は「家庭の金銭的な負担の軽減」以上に、「子供たちの精神的健全化」に大いに寄与すると確信している。そして将来的には、目詰まりした「日本社会」の変化に役に立つにちがいない。

県立中学校に通っている生徒さんへ。

もし英語がそのような環境でズタズタにされてしまったのなら、早いうちに当塾にいらしてください。これから新学年になる今ならまだなんとかなります。